コアラ-絶滅の危機?
法の下における公的なコアラの位置づけ
オーストラリア国内には、全国レベルでコアラの生息地を保護するような首尾一貫した法律はありません。必ずしもそのような法律がないわけではありませんが、法的に強い権限を持っているわけではありません。
野生のコアラが生息しているのは、クィーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州の4つの州のみです。 これらの4つの州では独自の環境保護法あります。(下記参照)
長期にわたり、コアラ保護の問題は真剣な取り組みがなされることなく、連邦政府はその責任を州政府に押し付け、そして州政府はその責任を地方自治体に押し付けるというようにコアラ保護に対する責任をたらいまわしにされてきました。
各州ごと及びオーストラリア全土、国際的なコアラの”地位”については以下のとおりです。(詳しい内容についてはメイン・ウェブサイトをご覧下さい。各州ごとのコアラの特徴や保護法制定までの経過などが掲載されています。)
また、AKFでは現在、全国レベルでコアラとその生息地を保護する”全国コアラ保護法”の作成に取り組んでいます。
コアラ自身は法律によって保護されていますが、ほとんどのコアラの生息地は法律によって保護されていません。(残されたコアラの生息地20%中、およそ80%は個人の私有地です。)
AKFでは、オーストラリア政府に、現在、個人の所有地となっているコアラの生息地を保護する責任があ り、また、各自治体や州ごとにコアラを保護するのではなく、全国レベルでコアラを保護する必要があると考えています。(現在、全国レベルでコアラを保護す る法律はありません。)
AFKは全国レベルでコアラを”絶滅危惧種”に認定するようにオーストラリア政府に提言しています。これ はとても重要なことで、最終的には”全国コアラ保護法”の成立につながるの確信しています。この法律が施行されたならば、オーストラリアで初の種特異種 (一種類のみに限定された)法律に成ります。
クィーンズランド州
“危急種”(VULNERABLE)…クィーンズランド州南東部に生息しているコアラ
“普通”(COMMON)…その他の地域に生息しているコアラ
様々な経過をたどった後、2003年、クィーンズランド州政府は、州南東部に生息しているコアラを“危急種”とし、その他の地域に生息するコアラは“普通種”に制定しました。また、州政府は独自に“コアラ保護計画書”を制作するなど、近年見られるコアラの頭数の減少は深刻な問題であると認識し、コアラ保護に対し積極的に取り組み始めました。
ニューサウスウェールズ
“危急種”(VULNERABLE)
1992年、オーストラリア国内では初めてコアラを“危急種”として制定しました。
ビクトリア
公式認定なし
ビクトリア州のいくつかの島々や本土の孤立した生息地で暮らすコアラは“頭数の過密化”という問題を抱えているにも関わらず、コアラは法的に保護されていません。また、州政府はしっかりした管理決定事項を促していないのが現状です。
孤立した生息地で暮らすコアラについて詳しい情報は こちらをクリック。
南オーストラリア
“希少種”(RARE)
1920年代、コアラの毛皮取引が盛んに行なわれた後、南オーストラリア州でコアラは絶滅。後に、コアラはビクトリア州から移住されました。(本土及び近隣の島)また、もともとコアラが生息していなかったカンガルー島へコアラの頭数回復調整のために移住させられましたが、近親交配など新たな問題を抱えています。(詳しくは上記の“孤立した生息地で暮らすコアラについて”をクリックしてください。)
オーストラリア国内
信じがたいことですが、全国レベルでコアラを保護する法律は現在ありません。連邦政府はそれぞれの州にコアラの保護を任しています。
国際
IUCN (The International Union for Conservation of Nature) では”絶滅の恐れの可能性のある種”(POTENTIALLY VULNERABLE)として制定しています。
2000年United States Endangered Species Act by the US Fish & Wildlife Serviceでは、“絶滅の危機に瀕した種”(THREATENED)と制定しています。これは“絶滅危惧種”の次に危険な種に属します。